Shopify Flowは、Shopifyでの様々なストア運営業務を自動化できる、無料のオートメーションアプリです。商品管理、在庫更新、注文処理、顧客フォローなど、これまで手動で行っていた日々の繰り返し作業を、特別な知識不要で簡単に自動化することができます。面倒な作業はすべて任せ、売上や顧客満足度向上に集中するためにも、導入必須のアプリといえます。
また、Shopify Flowを使うことで、EC運用で起こり得るリスクを事前に検知する仕組みを構築することも可能です。リスクを検知して迅速な対応を行うことは、金銭的損失や顧客満足度の低下、ブランドイメージ毀損を防ぐためにも非常に重要であり、Shopify Flowを活用したリスク検知は、ぜひとも取り入れたい仕組みの一つです。
本記事では、Shopify Flowでのリスク検知の一例として 「短期間に特定の顧客から大量注文があれば通知する」 ワークフローの作成を解説します。 誤注文のケースはもちろん、転売目的や不正利用による大量注文など不審なケースを検知する場合に有効 なワークフローです。
💡Shopify Flowについて詳しく知りたい方は、以下の記事も参考になりますので、ぜひご一読ください。
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ワークフロー作成手順と解説
Order created(注文作成時)をトリガーに設定する
注文作成時にフローを開始するために、Order createdをトリガーに設定します。
「アプリとタスクを検索する」に "Order created" と入力し、選択しましょう。
Get order dataアクションで注文を取得する
短期間に特定の顧客から注文があったことを判断するために、Get order dataアクションを使って注文を取得します。
トリガーからアクションを追加し、検索欄に "Get order data" と入力して該当のアクションを選択してください。
Get order dataアクションの設定画面が、以下のように表示されます。
Get order dataは、データを絞り込むクエリを指定し、そのクエリに一致する注文を取得することができるアクションです。「Sort data by」で取得したい注文データの並び順を指定することもできますし、「Maximum number of orders」を指定して取得する注文数を調整できます。なお、Maximum number of ordersの上限値は100です。
クエリは、「Created in the last day(直近1日の注文)」や「Unfulfilled orders(フルフィルメントされていない注文)」など、いくつかのクエリが用意されているほか、自身で作成したカスタムクエリを指定することが可能です。今回は、特定顧客の注文に絞りたいため、カスタムクエリを指定するために「高度」を選択します。
入力するカスタムクエリは以下のようになります。
created_at:>'{{ "now" | date_minus: "1 days" }}' AND customer_id:{{ order.customer.legacyResourceId }}
クエリ検索の構文はやや複雑ですが、より深く学びたい・把握したい方は、以下を参考にしてみてください。
Countアクションで注文数をカウントする
注文を取得するアクションができたら、次にCountアクションを繋げて取得した注文の数をカウントします。トリガーからアクションを追加し、検索欄に "Count" と入力して該当のアクションを選択してください。
アクションを追加したら「リスト」という項目があるので、そこに「Returned data - Get Order Data」を指定します。これにより、先ほど設定したGet order dataアクションで取得した注文データをカウントすることができます。
条件に合致したらSend internal emailアクションでメール通知する
最後に、Countアクションのあとに条件を設定し、条件に合致した場合にSend internal emailアクションでメール通知するようにします。
Countアクションから「条件」を追加し、
「変数を追加」で「Returned data - Count」を選択し、条件を設定してください。画像では、注文数が5となった場合に通知することを想定しています。
あとは、条件に合致する場合のアクションとしてSend internal emailアクションを指定するのですが、後々、このような注文を行った顧客を判別しやすくするために、顧客にタグを付与するアクションも合わせて設定しておくとよいでしょう。
アクション選択で "add customer tag" と入力して Add customer tagsアクションを選択し、
付与したいタグテキストを入力します。
そして、Add customer tagsアクションにぶら下げる形で、Send internal emailアクションを追加します。送信先のアドレス、件名、本文を設定してください。
最終的なワークフローはこのようになります。
Slackへの通知方法
今回はメール通知を想定してワークフローを作成しましたが、アクション「Send Slack message」を使うことでSlackへの通知を実現できます。初めてアクションを指定する場合は、アプリをインストールして、SlackとShopify Flowを連携させる必要があります。
アクション選択は、インストール済みのアプリを対象としているため、「すべてをクリア」を押したあとに "Send Slack message" で検索し、アクションを選択してください。
アクションを追加したら、通知先チャンネル・メッセージを設定すればOKです。
Shopify Flowのデメリットを踏まえたワークフロー作成時の留意点
Shopify Flowは強力な自動化ツールですが制約やデメリットも存在します。
次のような点に注意することで、異常注文の検知ワークフローとして、より精度の高い運用が可能になります。
フロー実行時の遅延を考慮する
Shopify Flowの実行は、数分程度の遅延が発生することがあります。また、大量のデータ処理が発生すれば、遅延がさらに増加します。
遅延を考慮した運用設計が必要であるということを念頭におき、常に厳密な即時性が求められる場合には別手段を検討する必要があります。
ワークフローの複雑化に注意する
ワークフローが複雑化すると、設定ミスや不具合のリスクが高まります。
また、処理時間が長くなることによって遅延にも繋がりかねないため、可能な限りシンプルな設計を心がけましょう。
通知の頻度を調整する
過剰な通知が発生すると、担当者がアラートを無視するようになり、結果として本当に重要な異常注文を見逃す可能性があります。
通知が多いなと感じられた場合は、しきい値の設定を見直すなど、通知頻度を調整することが重要です。
正常な注文との区別をつける
大口注文は異常注文とは限りません。例えば、B2B取引やリピーターによる正当な大量注文を誤検知しないように、特定の顧客タグ(「VIP」など)を除外するルールを設定するのも良い方法です。
テンプレートの利用を検討する
Shopify Flowでは、今回のようにゼロからワークフローを作成するだけでなく、あらかじめ用意されたテンプレートを利用することもできます。
注文管理、在庫管理、顧客対応など、さまざまな業務に適したテンプレートが提供されており、これらをカスタマイズすることで、手間をかけずに自動化を実現できますので、Flowの設計に不安がある場合は、まずテンプレートを試し、必要に応じて調整するのも良いでしょう。
また、本ブログでも様々なShopify Flowのサンプルを解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
- 【Shopify】Flowサンプル:リスクの高い注文をキャンセルする - ROUTE06 Professional Services
- 【Shopify】Flowサンプル:B2B注文の請求書を複数のメールアドレスに送信する - ROUTE06 Professional Services
- Shopify Flow徹底解説:ログ出力を使いこなして複雑なワークフローを構築しよう! - ROUTE06 Professional Services
まとめ
Shopify Flowを活用することで、短期間に特定の顧客から大量注文が発生した場合の通知を自動化し、不正注文や誤発注の早期発見につなげることができます。
また、リスク管理だけでなく、業務の効率化や売上向上にも役立てることができるため、本記事のワークフローを参考に、ストアの運用に適した自動化を導入し、より安全でスムーズなEC運営を目指してください。
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