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Interview

陶器文化をオンラインで国内外へ広める「うちる」の挑戦

株式会社ユーチル

公開日

2025.02.03

陶器文化をオンラインで国内外へ広める「うちる」の挑戦

全国の窯元や作家と直接取引し、陶器文化をオンラインで広めるECサイト「うちる」。2012年の創業から、食器に特化したオンラインショップとして成長を続けてきました。その背景や挑戦、今後の展望について、「うちる」を運営する株式会社ユーチルの竹澤様に伺いました。

創業の経緯と「うちる」のコンセプト

「うちる」は当初、食器などを扱う雑貨屋としてスタートしました。しかし、事業を進める中で2015年頃に食器に特化するコンセプトへと転換。現在は、全国の窯元や作家から直接仕入れることで、幅広いジャンルの陶器を提供しています。

「コンセプトの核にあるのは“陶器市”です。全国の人気作家さんや窯元の商品が一堂に会するワクワク感を、オンラインでも体験できる場所を作りたかったんです。」

2018年頃からは年に4回、オンライン陶器市を開催。「うちる」に特設ページを設け、一般には入手困難な商品が購入できる機会を提供しています。この取り組みは、多様な作家や窯元と顧客をつなぐ新たなチャネルを創出しました。

また、特定の商品が入荷するたびに通知する仕組みを導入し、顧客満足度を高める工夫も行っています。

作家との信頼関係構築

作家や窯元との関係を築くために、ユーチルは今でも地道な営業活動を展開しています。

「SNSでの声がけや陶器市での直接アプローチ、さらには産地訪問など、多様な方法で新しい作家さんを発掘しています。」

「扱う商品のクオリティを担保するためには、信頼関係が不可欠です。作家の皆さんにとっても、我々との取引がメリットになるよう努めています。」

心がけていること

さらに、「良い商品をお客様に提供すること」を差別化の最大のポイントとして挙げています。「お客様は本当に自分が欲しいものをしっかり探してくださいます。そのため、なんとなく良さそうという気持ちでは仕入せずに、常にお客様の目線に立ち、慎重に商品を選び抜くことが重要だと感じます。」

ユーチルでは、新しい作家や窯元との関係構築を継続的に進める一方で、既存の取り組みを改善し続けています。「他社の事例も参考にしつつ、自分たちがまだできていないことを積極的に取り入れる姿勢を大切にしています。」

立ち上げ時のシステム選定

「うちる」は当初、妻の個人事業としてスタートしました。初心者にも扱いやすいUIと機能を持つカラーミーを選定しました。

「思ったよりも早く売れ始めたので手応えを感じました。特に初期の1年間は、ほとんど何もしていなかったため、お客様がどうやって見つけてくれたのか不思議でした。当時はアメーバブログも活用していたので、そこから見られていたのかもしれません。」

12年間運用してきたカラーミーについて、竹澤様は「安定して運用できた安心感」と「初心者に適した操作性」を評価しています。

一方、海外展開ではカラーミーの代わりに、海外展開により適したShopifyの導入を進め、現地ニーズへの適応を目指した取り組みをされています。

海外展開への挑戦

国内での事業拡大を背景に、ユーチルは2024年から「UTSUWABI」を立ち上げ、海外展開を開始しました。

これには、国内と海外で売れる商品の違いを理解し、現地市場に適応する戦略が必要でした。

「海外では、派手なデザインの陶器だけでなく、質素で洗練された日本の美学が反映された商品も人気だとわかりました。侘び寂びの世界観に興味を持つ人々が多いと感じます。」

集客の上では、SEOやGoogle広告を活用し、ターゲット層へのリーチも図っています。「物価高や為替影響などもあり、広告にかかる費用は国内に比べて高いですが、顧客単価も高いため、現地ニーズに合わせながら試行錯誤している最中です。」

今後の展望

今後、ユーチルでは国内外でのさらなる成長を目指し、事業の幅を広げる計画です。国内市場においては、法人向け販売やギフト需要に対応した新たな商品カテゴリーの拡大に注力しています。特に、酒器や漆器、重箱といった未開拓のカテゴリーは、ギフト需要との親和性が高く、法人顧客への提案をより強化する可能性を秘めています。

これらの取り組みを通じて、「うちる」は国内外での事業拡大と、日本の陶器文化を世界中の人々に届けることを目指しています。

これからEC事業を始める方へのアドバイス

「うちる」の経験から、竹澤様はこれからEC事業を始める方に向けていくつかのアドバイスを挙げています。

まず大前提として、その事業や商材に対して情熱を注げるかどうかが重要だと語ります。「情熱がないと困難な状況に直面したときに乗り越えられません。その商品やサービスと本当にずっと向き合っていけるかを、自分自身に問いかけることが大切です。」

また、資金繰りの重要性にも言及。「事業を始める際には、融資や助成金を活用し、資金に余裕を持つことが不可欠です。ギリギリの資金で始めると、計画的な運営が難しくなります。」

さらに、事業が拡大していく段階では、適切な組織作りが求められると竹澤様は指摘します。「特に成長フェーズでは、どのような役割や部署が必要なのかを明確にし、チームとしての効率を最大化する仕組みを整える必要があります。メンターやアドバイザーの存在も、事業運営を円滑にするためには重要です。」

これらのポイントは、ユーチルがEC事業を成功させる過程で得た実感をもとにしたものです。これからECを始める方々にとって、貴重な示唆となることでしょう。


Shopifyを活用した自社ECの構築やリニューアルに関するご相談は、ぜひ弊社までご相談ください。

ご協力いただいた企業様

株式会社ユーチル

サービスサイト:https://uchill.jp/

日本各地の作家や窯元のうつわを販売するオンラインショップ「うちる」などを運営

株式会社ユーチル