アプリ開発においてセキュリティを担保することは、最も重要な要素といっても過言ではありません。本記事ではShopifyアプリ開発におけるセキュリティ観点でのベストプラクティスを解説します。
TLSを使用したデータ通信の暗号化
すべてのクライアントとアプリサーバー間のデータ通信は、Transport Layer Security (TLS) を使用して暗号化する必要があります。TLSはデータ保護とウェブサイトの信頼性向上に寄与し、HTTPSや鍵アイコンが表示されることでエンドユーザーの信頼を得られます。 Shopifyがアプリをレビューする際にTLS証明書が検証できない場合、アプリは却下され、証明書の設定を修正した後に再提出が必要となります。
有効な証明書を持っていない場合、Let’s Encryptなどの無料の認証局から取得するか、信頼できる認証局が発行した証明書を利用してください。ただし、自己署名証明書は使用不可です。TLS証明書の正しいインストールを確認するには、SSL Checkerなどのツールを利用しましょう。
iframeの使用制限
iframeはセキュリティ上の脆弱性を引き起こしやすいため、Shopifyアプリでは適切な制限が求められます。不正なウェブサイトによるクリックジャッキング攻撃を防ぐために、iframeの使用制御が必須です。
1.Content-Security-Policy (CSP)の設定
CSPヘッダーを使用して、iframeを埋め込む許可を特定の信頼できるURLに制限します。
2.X-Frame-Optionsヘッダーの使用
このヘッダーでiframeの許可ポリシーを設定し、不正なウェブサイトがアプリのコンテンツを埋め込めないようにします。 DENY
や SAMEORIGIN
などの値を設定可能です。
3.動的ヘッダー設定の確認
開発環境で正しい設定が反映されているか、HTTPレスポンスヘッダーを検証します。
ネットワークサービスポートのセキュリティ確保
Shopifyアプリでは、ネットワークサービスポートの適切な管理が求められます。不適切なポート設定は、攻撃者による不正アクセスのリスクを高める可能性があります。ポート設定が適切でない場合、アプリの審査で却下される可能性がありますので、これらの推奨事項を遵守し、安全なアプリを構築することが求められます。
1.不要なポートの閉鎖
アプリで使用しないポートはすべて閉じることで、攻撃のエントリーポイントを最小化します。
2.特定ポートのアクセス制御
使用する必要があるポートは、ファイアウォールやネットワーク設定を用いて特定のIPアドレスや範囲からのアクセスのみに制限します。
3.セキュアなプロトコルの利用
データ通信にはHTTPSやTLSなどのセキュアなプロトコルを採用し、暗号化された通信を実現します。
4.監視とログの活用
ネットワークトラフィックの監視やポートアクセスのログを記録することで、異常なアクティビティを検出し、迅速に対応できます。
ユーザー認証のために安全なトークンを生成する
Shopifyアプリでは、トークンは認証と認可において重要な役割を果たし、その生成と管理がデータ保護の鍵となります。トークンは暗号的に安全な乱数生成アルゴリズムを用いて作成し、一意性を確保する必要があります。また、有効期限を設けることで不正利用のリスクを減らし、必要最低限の権限のみを付与して過剰なアクセスを防ぎます。
トークンは暗号化して保存し、送受信時には必ずTLSを使用して通信の安全性を確保します。さらに、サーバー側でトークンの検証を行い、改ざんや不正な利用を防ぐ仕組みを導入することが推奨されます。不正なトークンや期限切れのトークンについては、迅速に無効化するプロセスを整備することで、さらなるセキュリティ向上が図れます。
短縮URLの注意点
URL短縮はリンクを簡潔にするために便利ですが、攻撃者がプログラムで短縮URLを総当たりで試す「ブルートフォース攻撃」に対して脆弱です。そのため、Shopifyアプリでは、常に推測が困難なURLを使用する必要があります。
特に、機密情報を含む可能性があるURL(例: チェックアウトURL、注文URL、シークレットトークンや個人情報を含むURL)では、短縮URLを使わないことが推奨されます。
まとめ
この記事では、Shopifyのアプリ開発におけるセキュリティベストプラクティスを詳しく解説しました。これらを実践することで、ユーザーの信頼を高め、安全で信頼性のあるアプリを構築するための基盤を築くことができます。開発プロセスの中で、本記事の内容を参考にしながら具体的な対策を段階的に実装していきましょう。