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デジタルトランスフォーメーション

ダッシュボード要件定義はここから ユースケースと目的を軸に考える

公開日

2024.12.03

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データ活用が競争優位の鍵を握る現代、ダッシュボードはその中核的なツールです。情報を整理し、可視化することで、迅速かつ的確な意思決定をサポートします。しかし、効果的なダッシュボード設計には、単にデータを並べるだけでは不十分です。重要なのは、ユースケースと目的を明確に定義し、それに応じた設計を進めることです。

ユースケースの定義

ダッシュボード設計における出発点は、利用シーンを具体化することです。つまり、どのような状況で、誰が、どのようにダッシュボードを使うのかを明確にするユースケースの定義が重要です。この定義が曖昧だと、利用者の期待に応えられない設計となり、活用されないダッシュボードに終わる可能性があります。

例えば、経営層が利用するダッシュボードでは、全体像を迅速に把握できるシンプルなKPIサマリーが必要です。一方、現場スタッフ向けには、詳細なデータやリアルタイムのアラート機能が求められることが多いです。これらは、ユーザーの役割や業務フローに基づいて設計することが鍵となります。

ユースケースを具体化する際には、以下の点を意識しましょう

  • 利用者の役割(例:経営者、マーケティング担当者、運用スタッフ)
  • 使用シーン(例:会議中、日常業務、緊急対応時)
  • 必要なデータや指標(例:売上、稼働率、顧客満足度)

これにより、ユーザーに適した視点でダッシュボードを設計できる基盤が整います。

ダッシュボードの目的と種類

ダッシュボードは、特定のユースケースに基づいて利用される目的を明確化することで、その設計方針が定まります。そして、その目的によって以下のように分類されます。構築するダッシュボードがどの種類に当てはまるのかを意識し、それに基づいて設計を進めることが重要です。目的を明確にすることで、データの選定やビジュアル設計が一貫性を持ち、ユーザーにとって効果的なツールを提供できます。

モニタリング型ダッシュボード

モニタリング型ダッシュボードは、現在の状況をリアルタイムで把握し、異常が発生した際に迅速な対応を支援します。たとえば、ネットワークの稼働状況や製造ラインの監視に使用されることが多いです。この種類のダッシュボードでは、データのリアルタイム更新が不可欠で、問題が発生した場合に即座にアラートを表示する機能が求められます。設計時には、ゲージや折れ線グラフなど、視覚的に即時性を伝えられるビジュアルを採用すると効果的です。

分析型ダッシュボード

分析型ダッシュボードは、過去のデータを深掘りして傾向やパターンを見つけ、問題の原因を特定するために使用されます。売上トレンドや顧客行動の分析など、意思決定に必要な洞察を得るために活用されます。この種類のダッシュボードでは、詳細なドリルダウン機能やセグメント別の表示が求められます。散布図やヒートマップなど、複雑なデータを視覚的に理解しやすくするビジュアルを選ぶことが設計のポイントです。

戦略支援型ダッシュボード

戦略支援型ダッシュボードは、経営層や意思決定者が企業全体のパフォーマンスを把握し、長期的な意思決定を行うためのツールです。KPIや予算達成率など、重要な指標を簡潔にまとめたデザインが求められます。この種類では、棒グラフやパイチャートなどのシンプルなビジュアルを採用し、過去データとの比較や未来予測を組み込むと、さらに価値の高いダッシュボードが実現します。

これらの種類に基づいて設計を進めることで、ダッシュボードの目的と利用者のニーズが一致し、実際に役立つツールが完成します。また、複数の種類を組み合わせたハイブリッド型のダッシュボードを構築する場合でも、それぞれの目的に応じたデザインや機能を意識することが不可欠です。

設計の具体的なプロセス

要件収集

設計プロセスの第一歩は、ユーザーのニーズを正確に把握することです。ユーザーとの対話を通じて、業務上の課題や期待される成果を詳細に洗い出します。利用者が現在使用しているツールや報告書を確認し、必要なデータポイントを特定することが重要です。この際、現場の声を直接反映し、利用者のスキルレベルや業務フローを考慮した設計を進めると良いでしょう。

データ選定

次に、要件に基づき必要なデータソースを特定します。データの質と整合性を確認し、更新頻度や取得方法を検討します。モニタリング型ダッシュボードには頻繁な更新が求められ、分析型では詳細な粒度が重要になります。また、不要なデータを省くことで視認性を高める工夫も必要です。

ビジュアル選定

目的に合った適切な可視化手法を選びます。モニタリング型には即時性を強調したゲージや折れ線グラフ、分析型には複雑なデータを示す散布図やヒートマップ、戦略支援型にはシンプルな棒グラフやパイチャートが適しています。利用者が情報を一目で理解できるデザインを心がけましょう。

レイアウト設計

最後に、利用者が最も重視する情報を画面上部や中央に配置し、補足情報を周囲に配置します。自然な視線移動を意識したレイアウトにより、利用者の操作性を向上させることができます。また、インタラクティブな機能を取り入れることで、ユーザーが詳細データにアクセスしやすくなり、ダッシュボードの利便性がさらに高まります。

まとめ

ダッシュボード設計は、ユースケースと種類の明確化が鍵を握ります。それぞれの種類に適したデザインと構造を採用することで、データの価値を最大化し、利用者の意思決定を支援するツールを作り上げることができます。本記事で紹介したプロセスを参考に、効果的なダッシュボード設計に取り組んでみてください。データが持つ潜在的な力を引き出す設計が、次の成功へのステップとなるでしょう。

参考文献