はじめに
EC-CUBEは国内企業向けに広く利用されているオープンソース型のECプラットフォームです。一方で、Shopifyはグローバル市場で高いシェアを誇るSaaS型のプラットフォームとして注目されています。本記事では、EC-CUBEからShopifyへの移行をスムーズに進めるために必要なステップや注意点を解説します。この移行は、特にスケーラビリティや海外展開を重視するビジネスにとって、重要な意思決定となるでしょう。
弊社では、Shopify構築支援・リプレースサービスを行っております。 B2BおよびB2Cビジネスモデルを問わず、企業の複雑な取引プロセスを支援するECソリューションを提供しております。 Shopifyについて何かご不明な点がございましたら、ぜひお気軽にご相談ください。
EC-CUBEとShopifyの基本的な違い
EC-CUBEは柔軟性とカスタマイズ性を重視して設計されたオープンソース型プラットフォームであり、主に日本国内市場を対象としています。一方、Shopifyは全世界で数百万のビジネスが利用するSaaS型プラットフォームで、初心者から大規模事業者まで幅広い層に対応可能です。
以下は両者の主な違いを整理したものです。
- アーキテクチャ:EC-CUBEはサーバー設置型であり、自己管理が必要です。一方、Shopifyは完全なクラウドベースで、セキュリティ更新やサーバーメンテナンスはShopify側で管理されます。
- 料金体系:EC-CUBEは無償ライセンスと有償ライセンスの2つがあります(詳細はこちら)。Shopifyの場合、初期費用は不要ですが、月額料金がかかります。
- 拡張性とサポート:Shopifyは公式アプリストアでの追加機能提供や24時間対応のサポートが特徴です。一方でEC-CUBEは、カスタマイズの自由度が高い反面、技術サポートは主に開発パートナーや外部リソースに依存します。
- 国際展開力:Shopifyは多言語対応が標準で実装されており、複数の通貨や決済手段を容易に管理できます。EC-CUBEではこれらの機能はカスタマイズによる実現が一般的です。
※参照:EC-CUBEライセンスについて
移行前に準備すべきこと
EC-CUBEからShopifyへ移行する際の準備は、成功を左右する重要なステップです。具体的な作業項目を以下のように掘り下げて解説します。
データのバックアップ
まず最初に行うべきは、既存データのバックアップです。これには、製品情報、顧客データ、注文履歴などが含まれます。これらのデータを失うことはビジネス運営に深刻な影響を与える可能性があるため、慎重に進める必要があります。
- 顧客情報: 名前、メールアドレス、購入履歴などを含む個人情報を適切に保存します。
- 製品情報: 商品名、価格、在庫数、SKU(商品コード)など、移行後も使用するデータを整理します。
- 注文履歴: 過去の注文履歴は顧客サービスの向上やリピート購入促進に役立つため、完全なバックアップを取得します。
ツールを利用すると効率的にバックアップを行えます。また、バックアップ後にはデータ内容を検証し、不備がないか確認してください。
SEO対策の見直し
移行後のSEOパフォーマンスを維持するには、URLの構造やメタ情報の移行計画を立てることが不可欠です。
- URLリダイレクト: EC-CUBEで使用していたURLからShopifyの新しいURLにリダイレクトを設定します。これにより、既存の検索トラフィックが維持されます。
- メタデータ: 各ページのメタタイトルやディスクリプションをエクスポートし、Shopifyで再設定します。これらは検索エンジン結果に影響を与える重要な要素です。
- サイトマップ: 移行後の新しいサイトマップをGoogle Search Consoleに提出し、クロールとインデックスを促進します。
- 内部リンク:内部リンクを移行前のURLのままにせず、新しいURLに変更するようにしましょう。
支援会社に移行を依頼する場合は、その支援会社にSEOの知見があるかは慎重に確認しましょう。
プラグインと機能の確認
EC-CUBEで使用しているプラグインやカスタマイズ機能がShopifyでどのように実現可能かを検討します。Shopifyには豊富なアプリが用意されていますが、一部の機能は直接対応していない場合もあります。
- 代替アプリの調査: Shopify App StoreにてShopifyアプリを調査します。例えば、EC-CUBEで制作しているECで会員制機能を提供している場合、Shopifyでも同じことができないかを調査しましょう。
- ユーザーデータの互換性: 会員管理機能を使用している場合は、移行後も顧客体験が維持されるよう、互換性を確認します。
これら等により、EC-CUBEでの顧客体験を損なうことなくShopifyへの移行が実現できます。
移行スケジュールの策定
移行には慎重なスケジュール策定が求められます。特に、移行中のストア停止期間(ダウンタイム)を最小限に抑えることが重要です。
- タイムラインの設定: データバックアップ、移行、テスト、公開までの各ステップに明確な期限を設定します。
- タスク分担: 開発者、マーケティング担当者、運営スタッフなど、関係者の役割を明確にします。
- ピーク時間帯の回避: トラフィックが集中する時間帯を避けて移行作業を行います。これにより、顧客への影響を最小限に抑えることができます。
スケジュールの策定は、プロジェクト管理ツールを使用すると効率的です。
関係者とのコミュニケーション
移行は多くの部署に影響を与えるため、事前に全関係者とのコミュニケーションを確保することが重要です。
- ステークホルダーの理解: 経営陣、マーケティング部門、カスタマーサポートチームなど、移行が関係する部門に事前に計画を共有します。
- 進捗報告: プロジェクトの進捗状況を定期的に共有し、問題があれば早期に解決します。
- トレーニング: Shopifyの運用方法を関係者に事前に教育し、移行後の混乱を防ぎます。
これにより、移行作業の透明性が高まり、スムーズなプロセスが実現します。
トラブルシューティングと運用管理
移行プロセス中、または移行後に問題が発生する可能性があります。 ECカートシステムの移行は大掛かりなプロジェクトとなるため、Shopifyの支援会社へ協力してもらうことを推奨します。 以下は一般的なトラブルとその解決方法です。
- データ欠損:データインポート時にエラーが発生する場合、元のCSVファイルのフォーマットを確認してください。特に必須項目の漏れに注意が必要です。
- SEOパフォーマンスの低下:旧URLから新URLへのリダイレクトが適切に設定されていない場合など、検索順位が下がる可能性があります。
- 運用管理の課題:Shopifyの操作に不慣れな場合、管理画面のチュートリアルやヘルプセンターを活用することで、効率的に習得できます。また、Shopifyの支援会社を利用することも一案です。
まとめ
EC-CUBEからShopifyへの移行は、単なるプラットフォーム変更ではなく、ビジネス戦略を進化させる重要な機会です。スケーラビリティ、利便性、国際展開力など、Shopifyの強みを活かして、さらなる成長を目指しましょう。慎重な準備と適切な移行プロセスを経ることで、競争力のあるオンラインストアを構築できます。
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